◈タイル百年
2022/07/10
◈タイル百年
紫月有人
今年は「タイル」命名百年だという・・・。
1922年(大正11年)4月12日「平和記念東京博覧会」において全国タイル業者大会が開かれ
それまで統一された名称がなかった張付煉瓦、化粧煉瓦、敷瓦等は「タイル」という名称で行こう!という事になったそうです。
東京駅の完成が1914年(大正4年)の事であるので、東京駅の象徴である、あの赤煉瓦色の小口タイルは「タイル」という名称で呼ばれず施工されていたわけですね。
「タイル」命名百年の節目に、御縁あってタイル業界に携わっている皆様はじめ、建築業界、タイルを愛する全ての人達に「タイル」百年おめでとうございますとお伝えし、この喜びを分かち合いたい気持ちです。
そして次なる百年に向けて私達は何をすべきか、製・販・工におけるそれぞれに課題は山積しているかと思います。
「タイル」の焼き物としての普遍性は継承しながらも、人間の英知で築き上げた新しい建築資材との融合、そして現代における最大の問題である環境配慮については製造から販売、施工、そして廃棄・再生に至るまで、まだまだ取り組むべき課題が残されているかと思います。
私を含め、現在ご存命の皆様方におかれましては健康を維持し、長寿を全うして頂きたいところですが、どのように考えてもお互いに「タイル」命名二百年を見届ける事は不可能かと思います。
それだけに先人達が築き上げてくれた、百年目の節目の当事者として、次なる百年に向けての役割は重大です。
施工に携わったタイル人達の名前が忘れ去られても「張り人知らず」として、そのタイルが未来に継承されて行く
それこそが私達の最終ゴールだと思います。
次なる百年に向けて今日も御安全に、そして笑顔でタイルに向き合って行きましょう。
文:紫月有人(しずき ゆうと)◆四季の移ろいと共にタイルをこよなく愛するタイル人。